ピアノを弾く環境

札幌からレッスンに通っている小5のRちゃんは、夏休みの間、余市のおばあちゃんSさんの家で過ごしている。発表会ではショパンのワルツ4番を弾くので特訓中だ。Sさんの家にはRちゃんのお母さまが弾いていたピアノが在り、Rちゃんが習うずっと前からSさんはピアノを始める事に挑戦されたのだ。自由奔放にピアノを楽しできたRちゃんだが、変化が現れてきた。札幌ではマンションにピアノを置けずに電子ピアノでヘッドフォンを付けて練習しているのだが、アコースティックで練習すると、電子ピアノでは弾きたくないと言い出したのだそうだ。隔週でのレッスンも、それでは足りないと思っているのか、毎週レッスンに来たいとも言っているのだとか。
5歳になったばかりのHちゃんも、お母さまのご実家から、お母さまが弾いていたピアノを持って来たら、電子ピアノには目もくれなくなったそうだ。そしてメキメキと上達している。我が家にもグランタッチという高い電子ピアノがあるけれど、滅多に弾かれることがない。私は音を鳴らさないで、確認する時などにたまに使っているけれど、はじめさんも、ほとんど弾かない。高くても、アコースティックにはなりえないのだ。住宅事情などで、どうしてもアコースティックを置けない、または転勤族の方のほとんどは電子ピアノを持っていますが、グランドピアノでレッスンを受け、上達するにつれ、ピアノが欲しいと言い出します。実際、アコースティックを持っている生徒さんの方が、やはり上達します。家で練習したがらない生徒さんは、はじめさんが言うにはギャップがあって弾いていても面白くないからではないかと。とはいえ、ピアノを置けない事情は致し方ないですよね。はじめさんが勤めている東京本社の社長はピアノを習い始め、会社にピアノを置いているのだそうですが、通っているピアノ教室でピアノを持っている生徒さんはごく一部だという事です。
Rちゃんは指がとても動く子だけれど、練習に身が入らない事が多く、7月のグループレッスンでは半分も弾けずに雷を落としたわけですが、次のレッスンでは、ゆっくりのテンポで全部弾けるようにしてきました。その練習を通してレッスンを受けた後、Sさんに自分の思いを伝えたそうです。春にステップを受けた時にも変化を感じました。以前は、人が演奏するのを聴くのはあまり好きではないのかなと思っていましたが、大曲を弾く大きな生徒さんの演奏にも熱心に耳を傾けていました。そういえば、Rちゃんはベートーヴェンが好きで、私が弾いた「月光」ソナタも熱心に聴いてくれました。将来はピアノの先生になりたいRちゃん。私としてはピアニストを目指して欲しいのですが、ピアノを弾く上で環境の問題は大きいなと思います。
余談になりますが、以前、タッチの強い生徒さんがヘッドフォンを付け電子ピアノで練習していたら、隣の人から「太鼓を叩いてうるさい」とクレームがあったという事を思い出しました。私も夜間にグランタッチを弾いていると、階下に打鍵音が響き渡り、母は何事かと驚いたそうです。母は「音が鳴っていた方が良いのに」と言っていました。

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