日時:7月16日(土) 午後2時開演
場所:札幌コンサートホール Kitara
指揮者:高関 建
ピアノ:清水和音
管弦楽:札幌交響楽団
楽しみにしていた清水和音さんの、デビュー30周年記念”オール・ラフマニノフ”に出かけました。一人のピアニストが1日のコンサートで4曲ものピアノコンチェルトを弾くなんて、前代未聞!と驚いていたら、8月のサントリーホールでは、「パガニーニの主題による狂詩曲」も入っているのですね。ん、これが一番聴きたかった…。しかし、3時間にも及ぶマラソンコンサートは、聴き応え十分、そして素晴らしい演奏会でした。
ラフマニノフのピアノ協奏曲は4曲ありますが、最初に作曲された1番は、まだモスクワ音楽院の学生だった頃の作品。なんと卒業試験のために書いた曲だったとは!演奏会では滅多に取り上げられる事は無くて、生の演奏を今宵、初めて聴きました。メロディアスで、甘美。いかにもラフマニノフだと分かる作品。清水和音さんの演奏が、あまりにもナチュラルで、はじめさんの開口一番は「軽々と弾くなぁ」でした。さて、続いては大好きな第2番。あのピアノから始まる冒頭。何度聴いても鳥肌が立つほど好きです。しかし、この日は冒頭だけではなく、曲全体に鳥肌!?あっという間に、2曲が終わってしまいました。もう少し聴き入っていたい気分ですが休憩。はじめさんは、清水氏の最新の録音に発表会で弾くコンソレーション第3番を含む全6曲が入っているし、直筆のサイン付きという事で、早くゲットしたい様子でした。リスト生誕200年記念の録音は、ロ短調ソナタ、ペトラルカのソネットから有名な3曲、そしてコンソレーション全曲という内容です。会場に戻ると、すっかり興奮気味に「もう、何曲でも続いて欲しい。音の幅が凄いねぇ。今日はオケも良いし、指揮者との息がピッタリ!」と、はじめさん。嬉しそうです。続いて4番が先に演奏されました。4番も演奏会で取り上げられる事は滅多に無く、学生の時、プラハで聴いて以来です。この作品は既に創作活動から離れて意欲の無くなった時期に書かれたそうで、メトネルに勧められて書き、メトネルに献呈されたという事です。創作の意欲が薄れた時期に書かれた作品とは思えないほど、面白く斬新な音楽でした。4番のCDは持っていないと思っていたのに、第2楽章が始まると「これ知っている」と、はじめさん。この楽章だけ入っている「アダージョ・ラフマニノフ」の中に収録されていました。3番の前にもう一度、休憩が入りました。難曲で知られる第3番ですが、この曲を弾くために清水和音さんはピアニストになったとか。さぁ、ラストの曲が始まりました。美しいピアニッシモ、強烈で強靭なフォルティッシモ。清水和音さんはピアノという楽器を鳴らすのが、もの凄く上手いと感じる数少ないピアニストだなぁと思います。すっかり聴き入っていましたが、突然、オケが崩れピアノと合わない瞬間が少し続き、指揮者も慌てている様子でしたが、清水氏は集中していました。どうしたのだろうと思っていると、何かアクシデントがあったようで、ヴァイオリンの女性が急に立ち上がり、ステージの外に出たそうにしていましたが、扉が開きません。弦が切れたのでしょうか?分かりませんが、暫くそんな状態が続き、ハラハラしました。第1楽章が終わっての清水氏、ご自身に気合を入れているような様子が見られました。ちょっと手を合わせて次のパッセージの準備をしているかのような仕草も見られ、コンチェルトを1日に4曲、しかも最後に膨大で難解な3番を弾いているピアニストの演奏に立ち会っている私たちも祈るような、そんな感じで聴き入っていました。もちろんオケも一体となって。大興奮の会場、拍手が鳴り止みません。昨年の3大ピアノコンチェルトの夕べも素晴らしい内容でしたけれど、今宵は更に素晴らしかった。リストのCDを、じっくり聴きたいと思います。
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