読譜力

最近、大人の生徒さんが新しい曲をラクラク弾いてくるので驚いています。「何か秘訣があたったのですか?」と聞くと、「発表会で弾いたドビュッシーの連弾曲「小組曲」によって鍛えられました」と声を揃えて言います。なるほど。はじめさんにも練習してもらったけれど、「譜読だけで大変だ!」と悲鳴をあげ、結局は最初の「小舟にて」だけだったから、相当難しい楽譜だったのでしょう。あの連弾曲は手がぶつかったりしますし、オーケストレーションを考えて音のバランスを聴きながら弾くのが難しくもあり面白くもありました。私にとって読譜が大変なのはラヴェルかな。「水の戯れ」と「道化師の朝の歌」くらいしか勉強していませんが、いつか「夜のガスパール」が弾けたら思っています。

「夜のガスパール」といえば、超難曲で知られていますが、アルゲリッチがグルダに習っていた頃、宿題に出されたそうです。この曲集をさらっと弾いて持っていき「大して難しくなかった」とつぶやいているのを何かの雑誌で読んだ事があります。1曲目の「オンディーヌ」の水を模した響きが魔法のように美しくて素晴らしいです。しかし何といっても3曲目の「スカルボ」に惹かれます。リストの「メフィストワルツ」が下敷きになっているようですが、甘美なところは全く感じられなく、むしろラヴェル特有の冷たい響きが魅力のように思います。

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