指と鍵盤の感覚

昨年は、全く練習してこないで教室にやって来る男の子に少しずつだが、変化が見られてきた。レッスンノートに書かれた彼の今年の目標は「毎日10分練習する」というものだった。私は生徒さんが、それぞれ書いてきた目標を声に出して読むようにしている。そして、その目標に何かしらのコメントを添えるのだが、男の子は少し恥ずかしそうに「少ないしょ」と言った。「まぁ、確かに短いけれど、全く練習しないよりはるかにイイと思うよ。それに、弾ける曲が少しずつ増えてきたら楽しくなると思う」そうコメントした。実際、ピアノの前に座ったら、10分なんてすぐ経ってしまうだろう。少しでも弾くという習慣が大切だと思う。先日のグループレッスンでは、その成果が現れていたし、昨日のレッスンでもいつもは、つっかえつっかえ、ようやっと弾くのだが、要領が良くなってスムーズだ。正直なところ、ちょっと驚きである。しかし、練習カードを見ると相変わらず何も書いていない。それでも練習してきているのは明らかだ。「お弾き初め会で弾いた曲を、今でも時々弾いているよ」と男の子。そう、レパートリーがあると練習したくなる気持ちになるもの。私も、以前はハノンを90分からスタートとう期間は、しんどかったが、その効果は様々なところで感じている。暗譜能力も以前より高くなったように思う。但し、たまにでも弾かないと忘れるのは早い…。

男の子は楽譜を見ないで弾く癖があるので、これを直していかねばならない。指練習に使っている〈ピアノのテクニック〉のレッスンで、「目をつぶって弾いてごらん」と言うと、目をつぶってトライ。自分でも思ったより弾けるのに驚いたようだ。楽譜を見ないで、少し覚えてから弾く癖をつけると、間違って覚えたり、どこを弾いているのか分からなくなったり、音の高さが曖昧になったり、色々な問題が起きる。レッスンで、「○小節の○拍部分から弾いて」と言うと、否が応でも楽譜を見なければならないので、有効だと思う。覚えて弾くタイプの生徒さんには、これをしつこくやるようにしている。最初は、楽譜のどこを指しているのか、探すのに時間がかかるけれど、つっかえたら最初から弾くというナンセンスな練習はしなくなるようだ。
指と鍵盤の感覚を覚えて、鍵盤を見ないで弾く事を説明するのに最近は辻井伸行さんの話をしている。辻井さんは有名人なので、ほとんどの生徒さんが、頷いて知っていると言う。私が子供の頃に習った先生の口癖は「目をつぶっても弾けるように」だった。目をつぶると、緊張した時でも集中して弾ける。むしろ、鍵盤を凝視して弾くのは苦手だ。

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