先日のグループレッスンでシューマンの子供の情景から5曲演奏したが、シューマンを一言で説明するのは、難しい。同じ年に生まれたショパンの事を持ちだして、シューマンはショパンをとても尊敬していて「諸君、帽子を取りたまえ。天才だ!」と紹介したのは、あまりにも有名な話ですというところから切り出した。実際、音楽評論家シューマンによってショパンは有名になったと言われています。そして、出版業を営んでいた親の影響で幼い頃から書物に囲まれて育ったシューマンですが、他の作曲家の誰よりもロマンティックな作品を多く書いた人だと思う。
ショパンのバラードを第1番を大絶賛したシューマンは、全8曲から成る「クライスレリアーナ」を尊敬するショパンに献呈している。きっと自信作だったのだと思う。ショパンは、その返礼にバラード第2番をシューマンに献呈した。しかし、シューマンはその斬新な作品に戸惑ったという。これも有名な話だ。では、ショパンはシューマンの「クライスレリアーナ」をどう思ったのだろうか…
「クライスレリアーナ」は大好きな作品で、子供の頃に聴いたホロヴィッツのクリスタルな音に憧れた。あの演奏は誰にも真似できないと思う。大人になってから聴いた舘野先生のシューマンも素晴らしいと思った。舘野先生は文学を愛する点が通じ合うようなとおっしゃっていて、シューマンのピアノ作品のほとんどを録音しているのではないでしょうか。演奏会でも随分聴く機会に恵まれました。
シューマンを勉強した時に一番興味深かった事は、シューマンが音楽批評を書くときに登場させた、全く異なる両極端の人物の名前である「フロレスタンとオイゼビウス」。彼らはシューマンの分身と言われています。「謝肉祭」にも、この2人が登場する。明朗で積極的なフロレスタン、静かで瞑想的なオイゼビウス。「クライスレリアーナ」では、彼らが交互に登場して面白い。