映画「十戒」&あんかけ焼きそば

先日、はじめさんと「焼きそば」の話題になったのだが、関東代表のはじめさんにとって「焼きそば」とは『ソース焼きそば』の事であり、北海道代表の私にとっては『あんかけ焼きそば』なのだという違いがあった。恐らく、北海道の人たちにとってはというか私的には『ソース焼きそば』とか『お好み焼き』は、「おやつ」みたいな、お祭り的な食べ物で、さぁご飯にしましょうという気持ちになれない食文化の違いみたいなものがあるのだと思う。だって『あんかけ焼きそば』は、しっかり食事しましたという気持ちになれるゴージャスさみたいなものがあるでしょ。

まだ幼稚園に上がる前、私は大好きな叔母が住んでいる岩内町に在った祖父の家によく遊びに行った。というよりも居着いていた。時折、母がやって来て、会社の旅行やら海水浴などの親睦会があるからと言ってプレゼントを用意して私を説得して帰宅させた。しかし、行事が終わるとまた私は叔母と一緒に暮らしていた。

叔母は映画が好きだった。よく叔母に付いて行って映画館で寝ていたものだが、ある日、「十戒」という映画を観に行った時、いつもは最後まで寝させてもらえるのに、その時は「ほら、見てごらん」と言って、叔母に起こされた。それは海が割れるシーンであった。それしか覚えていない。しかし、そういう事って、逆にいつまでも覚えているものだなぁ。叔母も何かを伝えたかったのかも知れない。「十戒」を観たその帰りに叔母と『あんかけ焼きそば』を食べた。叔母は「カラシとコショー」をたっぷりかけるので、何もかけていない方を私に食べなさいと言った。いつの頃から『あんかけ焼きそば』を食べ始めたのかは覚えていないが、もしかするとこれが最初だったのかも知れない。

幼稚園に上がる時は強制送還されたので、入園式の写真は超暗い顔で写っている。なんとも滑稽である。その後、叔母は結婚する事になり、結婚するなと泣いて説得しようとした。とんでもない子供である。でも、相手の人に会ってみると(お見合いの席まで立ち会っているし)、とても優しそうな良い人だと分かり、子供心にも納得したようだ。若くして亡くなった叔母だが、叔父には、いつも初対面の時の事を聞かされる。きっと怖い顔をしていたのだろう….。

『あんかけ焼きそば』を食べる度に叔母の事を思い出す。もちろん「カラシとコショー」をたっぷりかけて。

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