何故「Le mal de pays(郷愁)」

昨日の午後は、久しぶりにキタラでピア・リサイタルを聴いた。ミシェル・ベロフ。それについては、また改めて書こうと思う。ずっと何年も使わないまま、換金しようかと思っていた図書カードを持ち歩いていて、余市に戻ってから使えたら使おう、今回使えなかったら換金しようと思って地元の書店に入ると、それはすぐに目に止まった。話題となっている村上春樹の新作である。午後に持ち越したくないので、先ほど読み終えた。

それにしても、何故「Le mal de pays(郷愁)」なのかしらね….。
僅か3ページ程の、リストの作品にしては珍しい程、音が少なく初見でも弾けてしまうシンプルな曲なのだけれど。そう!こんな超渋い曲なのに、それが女子高生の愛想曲であるというストーリーに、真っ先に私は驚いた!しかも、音大に入るくらいのピアノの腕があるのに、それくらいの小品は綺麗に弾けたけれど、ちょっと大きい曲になると力尽きてしまう!?という、なんとも失礼なというか、あり得ない不思議。そして、過激な性描写。わざわざ書かないといけないのかなと思いながら、読むのが辛かった。これが面白かったら他の作品も読もうかと思ったが、とりわけ音楽が絡んでくると、なんだか嘘っぽいというかカチンときます。村上ファンの方々を敵にまわすかも知れませんが、正直な感想です。

巡礼の年から「Le mal de pays(郷愁)」にスポットを当てたのは、そのタイトルが大きく関係しているのだろうと思う。もっと良い曲がいっぱいあるのに、敢えてこの曲に拘るのが不思議に思う。注意深く聴くと、その奥深さが分かってくるというフレーズは、言い換えれば、注意深く聴かないと、ぱっとしない作品という事なのかも知れません。リストは70歳以上も生きた巨人だったけれど、晩年の作品は理解が難しいものも多く、聴衆や周囲に受け入れられず、しかし、リストはそんな事はお構いなしに、自分のためにピアノを弾き、自分のために作品を書いたといわれています。

速読したわけでもなく、読めるのだから読者を引っ張っていく力は、正直凄いと思います。しかし、読み終えた後のこの虚無感は…

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