ミシェル・ベロフ ピアノ・リサイタル

5月12日(日)
札幌コンサートホールKitara小ホール

●シューマン:アラベスク 作品18
●シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D.960

●ドビュッシー:映像 第1集
Ⅰ.水の反映 Ⅱ.ラモーを讃えて Ⅲ.運動
●ドビュッシー:映像 第2集
Ⅰ.葉末を渡る鐘の音 Ⅱ.そして月は荒れた寺院に落ちる Ⅲ.金色の魚
●ドビュッシー:版画
Ⅰ.塔 Ⅱ.グラナダの夕べ Ⅲ.雨の庭

〈アンコール〉
●シューベルト:ハンガリ風のメロディ
●ドビュッシー:アラベスク第Ⅰ番

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ベロフというと、2006年にNHKの「スーパーピアノレッスン」で、〈フランス音楽の光彩〉というタイトルの講座で講師を担当して、高い評価を得ました。タイムリーな事に、私はラヴェルの「鏡」より”道化師の朝の歌”を勉強中でしたので、この番組の存在はとても大きかったです。ラヴェルの「夜のギャスパール」より”スカボロ”では「くわばら、くわばら」と言うベロフ先生のお茶目ぶりが、とても良かったです。

ベロフのリサイタルを聴くのは初めてです。運良く良い席をゲットできたのですが、シューマンのアラベスクが始まって間もなく後ろの席からイビキのような音が聞こえてきました。てっきり寝ているのかと思い後ろを振り返るとお年寄りでしたが、なんと起きていました。風邪をひいているか、鼻が悪いのでしょうね。致し方なく、集中してシューベルトのソナタを聴き入りましたが、今日は何時にもまして長く感じました。21番は色々なピアニストの演奏で何度も聴いていますが、残念ながら良いなと思ったのは、舘野先生の演奏だけです。そして、シューベルトのソナタは、なかなか弾きたいという気持ちになれずに今に至っています。しかし、私の気持ちとは裏腹に大きな拍手はなかなか鳴り止みませんでした。

後半は、お得意のドビュッシー。「水の反映」ですが、これを勉強した時にビデオを撮って、まだ東京に住んでいた はじめさんに送りつけたという事ですが、私はすっかり忘れていました。この曲がきっかけで、はじめさんはミケランジェリのCDを買い、すっかりドビュッシーの魅力にはまったのだそうです。ベロフの演奏は色彩が豊かで緻密な演奏です。NHKの講師を務めていた時の印象より神経質に見えましたが、少し緊張していたのかも知れません。ハイクオリティな演奏で、かなり高い位置から打鍵するので、ミスがやや目立ちます。それがもったいないなぁと思いました。最後の「雨の庭」のフィニュッシュは決めて欲しかった。ご本人もちょっと苦笑い。でも、ドビュッシーは、やっぱり流石ですよ。

アンコールの1曲目は聴いたことがない曲でした。はじめさんは「演歌が始まったのかと思った…」と言っていましたが、シューベルトでしたね。2曲目のアラベスクはアンコール向けなのか、物凄い高速演奏。もしかすると、終始鳴り響く大きな鼻音が気になって早く終わりたかったのかもと思いました。ひとりで聴きにいらしていたようですし、ご本人に悪意は無いので、早く気づいて欲しいですね。ちょっとフラストレーションが多い演奏会でしたが、はじめさんも「いやぁ良かったね」とご機嫌だったし、サインを求めての長蛇の列が出来る人気ぶりでした。演奏者、聴衆、ホールが三位一体となった演奏会は、なかなか難しいですが、それでも、リサイタルにはこれからも出かけたいと思います。

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