及川浩治さんの「ショパンの旅」は、これまでも何度か聴いていますが、今回は1999年オリジナル版とのことです。1999年の「ショパンの旅」は小ホールで聴きました。今回もその時と同じようにショパンの障害に於ける数々のエピソードを追って及川さん自身のナレーションで演奏するスタオイルです。
3月5日(土)13:00PM
札幌コンサートホールkitara大ホール
program
●ノクターン第20番 嬰ハ短調「遺作」
●ラルゲット(ピアノ協奏曲 第2番op.21より第2楽章より)
●マズルカ ホ短調Op.6-3
●ノクターン第2番 変ホ長 op9-2
●エチュード ハ短調「革命」 Op.10-12
●エチュード ホ長調「別れの曲」Op.10-3
●ワルツ 変ホ長調「華麗なる大円舞曲」op.18
●幻想即興曲 嬰ハ短調 op.66
●バラード第1番 ト短調 op.23
=======intermission
●エチュード 変イ長調 「エオリアンハ・ハープ(牧童)」Op.25-1
●プレリュード 変ニ長調「雨だれ」op.28-15
●ワルツ 変ニ長調「小犬」op.64-1
●ポロネーズ第6番 変イ長調「英雄」op.53
●舟歌 嬰ヘ長調Op.60
●マズルカ ヘ短調 op.68-4
●葬送行進曲(ピアノ・ソナタ第2番 変ロ長調 op.35より第3楽章)
●子守唄 変ニ長調Op.57
=====encore
●ベートーヴェン/リスト編:交響曲第5番「運命」より第1楽章
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ロシア兵によるウクライナ侵攻と重なる「革命」
及川浩治さんのリサイタルは2年ぶり。ベートーヴェン生誕250周年と及川さんのデビュー25周年記念コンサートでした。コロナ禍でのリサイタルというのは、なかなか勝手が違うもので、マイクの場所に移動してナレーションを読むときはマスクを付け、演奏するときには外すというのもテンポ感が変わってしまうのかもしれません。
最初のナレーションのとき、カマーバンドを付けるのを忘れた及川さんは「あっ」といい、「ちょっと付けてきていいですか」と客席に求めて、すみやかに付けて登場され笑いを誘っていました。
ショパンの祖国ポーランドは当時、ロシアの支配下に置かれていたため武装蜂起が絶えずあり不安定でした。パリに亡命したショパンでしたが、ワルシャワが陥落したというニュースで絶望と怒りで生まれた「革命」。今まさに、ロシア兵によるウクライナ信仰と重ねって生々しい感じがしました。
圧巻のバラード第1番
前半の最後を飾ったのは大好きなバラード第1番。シューマンがとても気に入ったとのことです。ショパンもこの作品が一番好きですと答えて及川さんの演奏ですが、まるでショパンが乗り移ったのではないかと思えるような演奏でした。ちなみに、シューマンに献呈されたバラード第2番は、あまりにも斬新過ぎて、あまりお気に召さなかったとか。
これだけの小品を全て演奏することの難しさ
「英雄ポロネーズ」から「舟歌」への流れでは、ヒヤッとすることが何回かありました。ためているような感じでもあり、ふと鍵盤を探しているような感じでもあり、音を確かめて弾いているような感じで、それは、はじめさんにも伝わっていたようなので、何かあったのだろうと思いました。しかし、その後の最後の作品となったマズルカ68-4から最後に演奏された「子守歌」はとても素晴らしかった。
まさかのベートーヴェン!
元気よくステージに登場し、アンコールで演奏された曲はベートーヴェンの「運命」でした。これには会場もビックリ!ショパンの曲があまりにも続いたからかもしれませんね。中学のときにグレン・グールドのレコードを購入しましたが、なんとスコアも入っていたのです。それを中学の担任がときどき弾いているのを聴きました。それにしても、ティンパニーが怒号を上げているような箇所も全てピアノ1台で演奏するのですから、まさにピアノはオーケストラだと思いました。
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